１９７２年日本公開、自分はまだ学生だったので入場料が高いロードショーには行けず、翌年に名画座（文芸坐だったか）で見たのではなかろうか。それ以来だから半世紀以上（５３年）振りだ。この映画は公開前から評判が高く、各種の映画雑誌（「キネマ旬報」等）でも特集されたはずだ。この年の「キネ旬」ベストテンでは、堂々と第３位。１位はピーター・ボグダノヴィッチ監督の「ラスト・ショー」、２位の「フェリーニのローマ」に次いでいる。後には「時計じかけのオレンジ」（スタンリーキューブリック）、「わらの犬」（サム・ペキンパー）、「真夜中のパーティー」（ウイリアム・フリードキン）、「ゴッドファーザー」（フランシス・コッポラ）、「キャバレー」（ボブ・フォッシー）、「フレンチ・コレクション」（ウイリアム・フリードキン）が続いており、今も映画史上に残る傑作群を凌いでいる。 特典で見ると多数のニュース映像が残っており、この事件が当時から冤罪事件だとして世界的に世論の反撥を受けていたのが分かる。それでも死刑は止められなかった。１９２０年代アメリカといえども国家権力とはこういうものか。日本でも１９１１年大逆罪で幸徳秋水等多数の人間を冤罪で死刑にしている。アナーキストへの恐怖は何処の国でも同じか。 ニュース映像には、実際のサッコとヴァンゼッテイ本人が写っているものもありビックリ。しかし、堂々としている、立派なものだ。