この本は、マクロ経済政策で、財政政策と金融政策がありますが、財政政策は効果があるが、金融政策は、効果がないとしている本ですね。 一般的な経済的な常識では、不況には、財政政策と金融政策の両方で、不況を克服するというのが、普通ですが、筆者は、どういう訳か、金融政策は、有効ではないと主張していますね。 特に、フィリップス曲線は、黄金期の国のもので、役に立たず、インフレ目標2%は、意味がないとしていますね。 ただ、個人的な感想を言えば、統計上は、アメリカのフィリップス曲線は、失業率とインフレ率の反比例にはなっていませんが、日本のフィリップス曲線は、綺麗に、反比例のグラフになっているので、インフレ目標2%は、とても有効だと思いますね。 日本のアベノミクスのインフレ目標政策2%で、失業率が、完全雇用（2019年の3月は2.５%）に達して、雇用がよくなっているのに、それを完全否定するのは、どういう理由なのか、わかりません。 筆者の主張は、財政政策と為替政策に政府が関与するのは、OKだが、金融政策は、ダメというのが結論ですね。 この本には、アメリカのサマーズ元財務長官やFRBのバーナンキ元議長が、この本を褒めていると言っていますが、彼らは、インフレ目標政策には、賛成のはずなんですけどね。この本を本当に読んでいるんでしょうか？ 予測ですが、筆者が、こんなに、金融政策が効果がないとしているのは、筆者がニューヨーク連銀出身だからと思いますね。基本的に、中央銀行出身の関係者は、金融政策に効果がないという人が多いですね。中央銀行出身の人間は、議会やマスコミに絶えず、金融政策の批判を浴びているので、トラウマがあるのかもしれませんね。 まあ、とりあえず、マクロ経済学のいろんな論点に、切り込んでいるので、面白い本になっていますね。 あと、電子書籍化してくれて、助かりました。とても感謝しています。電子書籍化してくれない本は、絶対に買わないので、電子書籍化が遅れている出版社は、見習ってほしいですね。